「シンドラーのリスト」を観てから、何でユダヤ人が迫害されるのか知りたくなりました。
大体の傾向だけれど、ヨーロッパではユダヤ人は好かれていないのです。「ベニスの商人」に出てくるシャイロックは強欲だ。「クリスマスキャロル」に出てくるスクルージーも守銭奴。定価千円とせずに、998円と表示するのがユダヤ商法。大体が、ユダヤ人というと、強欲で好色とされています。
単に嫌いということではなくて、複雑な側面があるらしい。調べてみました。
AD70年にエレサレムが滅んで、離散したのが端緒という。ローマ支配化の地に住んでも、習慣や生活様式を変えなかったという。キリスト教が公認されると、キリストを殺したということで、迫害が行われた。
中世封建制度の枠外にあって、知的専門職や雑事に従事していた。経済力は利用できたが好意的な扱いはなかった。
13世紀にダビデの星、14世紀にゲットーが作られる。こんな大昔にダビデの星が創られたんだ。
絶対君主が現れると、国王はユダヤ人の経済力を利用しようとする。ユダヤ人は市民階級とつながっていないから便利なわけだ。宮廷ユダヤ人や御用銀行家が現れるけれど、これは貴族や市民階級の反目を招く。
近代国家の出現は、国民の同権の観点からユダヤ人の法的権利保障が進むことであったけれども、ここでも、ユダヤ人富裕層の経済力への魅力でもあった。このような取り込みは、ユダヤ人自身のアイデンティティの確認にもなる。これだけが理由ではないようだけれど、反ユダヤ主義が高まる。
これは政治的に利用され、ドイツやオーストリアでは反ユダヤを標榜するさまざまな政治団体が出現する。
ニコライⅡ世は偽造文書『シオンの賢者の議定書』を作成させユダヤ人が世界征服をたくらんでいると喧伝し、フランスではドレフュス事件が起こっている。
近代国家が帝国主義的な政策になるにつれ、破産したあるいは階級脱落者としての中産階級の不満のはけ口としての憎悪をかう。
さらに、ロシア革命後の反共主義が反ユダヤ主義と結びつけられる。
ナチの場合には、大衆の不満のはけ口を反ユダヤ主義に求めただけでなく、アーリア人種の純潔の維持という名分のもとに、ユダヤ人の存在そのものを悪とする考え方が生み出される。
反ユダヤ主義は広くヨーロッパにあったから、ナチが占拠したハンガリーやポーランドではこういった国からも強制収容所への移送が行われた。
第二次世界大戦後の西欧では反ユダヤ主義は大きな運動にはなっていない。しかし、スウェーデンで、反ユダヤ主義の国際的集会が開かれていて、反ユダヤ主義は消滅していない。
そのような犠牲者としてのユダヤ人は、第二次大戦後のイスラエル建国により、いまも続くパレスチナ問題をひきおこしている。ユダヤ人がイスラエル建国の担保としたバルフォア宣言だって、帝国主義国家イギリスの二枚舌からひき起こされたものだ。
ユダヤ人は犠牲者でありつつ、現在では加害者にもなっている。いまから千年後、どのように決着がついているのだろうか。あるいは、未来のいまも解決すべき問題であり続けているのだろうか。誰もが同情する第二次大戦におけるユダヤ人と、アラブの地に建国し有無を言わせぬ軍事力でアラブ人を排除するユダヤ人と、同じ二つのユダヤ人の顔にどう向き合っていくべきなのだろう。
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