平成21年10月14日水曜日

羽田空港

 前原国交大臣が羽田をハブ空港にすると言ったとき、千葉市長や千葉県知事は猛然とかみついた。成田を抱える自治体の長である以上、当然なさねばならない反応だろう。自軍のバッターがストライクアウトを宣告されたときに義務であるか否かは別として、これに抗議する監督と同じだ。

 ことは国内問題ではない。韓国には仁川空港がある。24時間離着陸が可能。滑走路も長尺が何本もある。だから日本からの旅行で、先ず仁川に飛んでそこから目的地に行くという流れもできつつある。これは成田空港や関西空港にとって、その地元が経済的に潤うか否かといった問題ではない。
日本の国が中長期的に国際的にどうなるのかという国家戦略そのものの問題提起なのだ。国際的な交通の利便性を日本がどのように世界に保障できるかということなのであって、そのような大きな枠組みで国家の方針を定めていく必要がある。

 同時に、地方を中心とする恒常的な赤字空港も垂れ流しの援助を続けるべきではない。そもそも、な ぜこんなに採算割れの空港が沢山あるのかというと、自民党政権は、航空会社が支払う着陸料などを財源に空港の整備運営を手がける国の社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定(旧空港整備特別会計)を当てにして不採算空港を作り続けてきた。金は入るから、ただ作るということの繰り返しをしてきた。

 この構造的な仕組みを見直さなければならない。日本航空の赤字問題からして、このように作り続けた空港に政治家と役所が飛行機を飛ばせと押しつけてきた経緯がある。自民党ができなかった、あるいはやろうとしなかった悪循環を前原国交相がいま断ち切ろうとしている。