平成21年7月10日金曜日

KABUKI (3)

  歌舞伎には生々しい場面もあるけれど、そのような状況でも多くは節度を持たせて形の美しさを前面に押し出している。見ているほうはなにがなしか安心する。















  生身の女性から女性性のみを抽出して具象化するから、女以上に女らしいということになる。宝塚の男役の裏返しのようだが、少し違うところもある。
   道行きとは、浮世のしがらみと人間の自由との角逐で、当時の人にははるかに身につまされた事柄だっただろう。
農民にはなかった。あったかもしれないが、劇としての絵にはならない。武士にもなかった。武士の場合は武人として生きうるか否かに転化してしまうから、互いに手をとっての逐電にはならない。町民という社会の枠に閉じこめられ、なしうる究極の自己表現として自死に至る。
もはや帰らぬ旅に際し、振りかえって手を合わせる。その姿が可憐で哀れだ。降る雪が美しい。

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